サステナブルな社会実現へ…株式会社タナベが開発する人工皮革ハンドルレザー
近年、皮革産業において環境保護や動物愛護の観点からサステナブルな皮革製品が世界で求められており、国内でも注目を浴びるようになってきました。
しかし、過酷な環境下で使用する自動車用ハンドルレザーでは他の皮革製品に比べて高い機能性が求められます。その中で弊社でもサステナブルな方向へ向けて日々研究を進めてきました。
この記事では、株式会社タナベが開発するサステナブルかつ高機能な独自の人工皮革ハンドルレザーの特性についてご紹介します。
独自の人工皮革ハンドルレザーの特徴
基材に特殊不織布以外(織物・編物がベース)を用いたものを合成皮革、基材に特殊不織布を用いたものを人工皮革と言います。
株式会社タナベは、その基材やコーティングに独自の素材・技術を使うことにより人工皮革の高機能化を実現しました。
弊社の人工皮革の特徴を4つご紹介します。
① 本物の革に近く耐久性のある繊維構造
基材はナイロン素材のマイクロファイバーを立体的に絡み合わせた不織布の繊維に、ポリウレタン樹脂を含侵させた特殊不織布です。これは自動車用素材としても使用できるほど丈夫な上にポリエステル素材と比べ、柔らかく伸び性があるため加工し易いばかりでなく、本物の革より軽いのも魅力です。
また、合成皮革は基布ベースの耐久性が弱い傾向がありますが、弊社の人工皮革は繊維の構造が本物の革に非常に近く、耐久性があります。
(引用:https://www.tokyo929.or.jp/column/cloth/2.php)
断面図で比べてみると本物の革とそっくりなのがよく分かります。
② 劣化の原因となるフィルムを使わない特殊コーティング
通常、合成皮革や人工皮革はポリウレタン層等でコーティングやフィルムの貼り合わせ処理を行うことで表面を本革に似せているため、それが経年劣化の要因になる場合があると言われています。
そこで、弊社独自の技術である本物の革(床革)に直接そのまま特殊コーティングする手法を人工皮革にも応用。フィルムコーティングによる経年変化(加水分解等)やフィルム剥がれの心配がない特性を持つ人工皮革を実現しました。
合皮の経年劣化の例
③ いくつもの耐久性試験をクリア
ハンドル用レザーは車内の厳しい環境下で使用するため各種の耐久性試験があります。
・摩擦や摩耗に強いか
・様々な薬品への耐久性が高いか
・引っ張りや引き裂きに耐えられるか
などいくつかの試験があり、弊社の人工皮革はその全てで合格基準を達成しています。
④ 表面加工が可能でデザイン性が高められる
また、デザイン性を高められる表面のシボ入れ加工も本物の革と同じく可能です。
シボ入れ加工の例
サステナブルな社会実現への取り組み
弊社は人工皮革というアプローチからサステナブルな方向へ向けて日々研究を進めています。
天然素材が使われていると環境に優しそうなイメージを持つかもしれませんが、実際は製造の過程で大きな環境負荷がかかっている場合もあります。弊社の人工皮革は、油性塗料と比べ大気汚染の原因となる物質を大幅に抑える事が出来る水溶性塗料を使用しています。
また、動物性の原料を使用していないので“ヴィーガンレザー”でもありますが、例えば植物系から作られるものと比較しても特殊不織布構造や独自の塗装コーティング技術でしなやか触感と耐久性を実現しています。
傷や汚れがつきにくいため、定期的なメンテナンス無しでも綺麗な状態で長年使うことが可能です。長く製品を愛用して頂くこと自体もまた、環境負荷を減らすことに繋がります。(注:使用環境により寿命は異なります)
株式会社タナベが開発している人工皮革ハンドルレザーについて、販売やOEMなど詳しくはお問い合わせください。
窓口担当:海外事業部 片桐真文
email: katagiri@tanabe-jp.com